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「想像すること」が最も速く、最も深く、この始まりも終わりもない災厄の根をつかむ。そして人々の心に張り巡らされたそれは、我々をどのように揺さぶり、変容するのか。夢は息絶え、あるいは再生するのか。バリー・ユアグローの驚くべき12の寓話は、それらを語り、記録し、証明する。
――川上未映子
アメリカ在住の作家・バリー・ユアグローが、2020年4月5日から5月11日にかけて、都市封鎖状態の続くニューヨークから柴田元幸に送った12の超短篇を、1冊の小さな本にしました。
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「世界」が故障した「世界」へと大勢の人が強制的に連れてこられた時代に、ここに集められた寓話は、大きな救いになるだろう。驚くべき着想と空想の数々は、それがどんなに残酷でも、私の狂気の核心に触れ、癒し、救った。作家の「空想」の強烈な可能性に恍惚とした。恐怖は空想の力により、新しい世界と言葉で再構築された。この恐ろしい時代に、この物語が生まれ、変化した世界に刻まれたことに、奇跡を見たような気持ちでいる。
――村田沙耶香
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“ある時期にひとつの場所を包んでいた、だがほかの多くの場所でもある程度共有されていた特殊な(と思いたい)空気を封じ込めた小さな本。”(柴田元幸「この本について」より)
「正気を保つため」に書かれた疫病の時代の寓話。
《収録作品》
ボッティチェリ / ピクニック / 鯨 / 影 / スプーン / 猿たち / 戸口 / サマーハウス / 風に吹かれて / 岩間の水たまり / 夢 / 書く
この本について(柴田元幸)
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著者:バリー・ユアグロー
訳者:柴田元幸
タイトル:『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』
カタログ番号:ign-004
発行:ignition gallery
発売日:2020年5月29日
判型:A6判 /中綴じ
ページ数:44
装幀:横山雄(BOOTLEG)
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「『苦しみは人間の共通言語』NY在住作家の小説を緊急邦訳」――毎日新聞
「素っ気なさ過ぎるように感じられる題名から、深い心の沼に小石を一つ落としてゆくような話が続く」――読売新聞
この異様な時代の空気を閉じ込めた12編 ――朝日新聞
ふう、とため息をつく。でも世界はまだここにあるのだ。目を、そらさないこと。ひっそりと決意しながら、小声で、「ヌオオオ」と言ってみる。すると、鯨たちが、猿たちが、少しだけだけれど、力をくれるのだ。 ーー川上弘美(日本経済新聞「あすへの話題」より)
コロナ禍の「空気」を寓話化した本書の収録作は一見、超現実的な話のようで妙にリアル。物事の実相を鋭く暴いていく ーー産経新聞
当惑し、怒り、もがき、打ちのめされる各話の登場人物たちは、むろん作家の分身であり、私たちの分身でもある ーー芸術新潮
新型コロナに関する言説は、これまでは感染症や疫学、あるいは経済学的視点からの論点に終始してきたように思われるが、本書のような寓話や人間心理を鋭利に描き出す文学的な視点からの洞察も欠かせないものだろう ーー週刊読書人
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《著者プロフィール》
バリー・ユアグロー
1949年生まれ。ニューヨーク在住。シュールな設定ながら、思いつきのおかしさだけで終わるのではなく、妙にリアルで、時に切なく、笑えて、深みのある超短篇で人気を博す。著書に『一人の男が飛行機から飛び降りる』『セックスの哀しみ』『憑かれた旅人』『ケータイ・ストーリーズ』(以上、柴田元幸訳)など。
《訳者プロフィール》
柴田元幸
1954年生まれ。翻訳家、東京大学名誉教授。文芸誌「MONKEY」編集長。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。翻訳の業績により、早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。現代アメリカ文学を中心に訳書多数。