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「世界は変えられないと嘆くよりも、自分で楽しみをつくりながら生きる」
インディペンデントな創作によって独自の境地を切り開いていった1990〜2000年代の作家たちを再検証し、刊行後の反響から美術展へと発展した『拡張するファッション』。本書はその著者・林央子による待望の書下ろし新作。
『拡張するファッション』から10年。前に進めなくなったときに、気づきをくれる言葉を投げてくれる人は、ものをつくる人や、アーティストだった。
ジャンルに囚われない「つくる人」の「つくる理由」から、日々生きる知恵を学ぶ。生産者と消費者という分断が、格差や息苦しさを増していく。自分もつくり手になることで今いる場所から自由になれる。
一番のポイントは、副題にもなっている「暮らしからはじまる」ということ。社会の行方がわからなくなった時代に立ち戻るべきは、つくりながら生きる生活だと思います。
つくることから知る世界がある。「世界は変えられないと嘆くよりも、自分で楽しみをつくりながら生きる」。
目次
イントロダクション 日々生きる知恵を、アーティストの作法に学ぶ
第1章 生と死、そして家族を見つめて(始まりの感覚をつかむため(青木陵子)
死をポジティブに変換するため(竹村京))
第2章 着ることは、生きること(内省からはじけるクリエーション/暮らしをつくり、服をつくる(居相大輝)
インターネットを駆使し、遊びながら生きる(山下陽光))
第3章 形あるものをつくらない(見えない敵と戦いながら、自分たちの居場所をつくるために(PUGMENT)
世界を編集しながら生きる力(田村友一郎)
「おかしみ」を味わう場をつくるため(L PACK.))
第4章 価値を問う(世界をコラージュする方法(金氏徹平)
暮らしに生きる芸術に光をあて、問いを放つ(志村信裕))
エピローグ つくりながら生きる生活へ
プロフィール:
林央子
編集者、ライター、リサーチャー。1966年生まれ。同時代を生きるアーティストとの対話から紡ぎ出す個人雑誌『here and there』を企画・編集・執筆。自身の琴線にふれたアーティストの活動を継続的にレポートし、編集プロジェクトや展覧会につなげる。2014年の「拡張するファッション」展に続き、東京都写真美術館で行われた「写真とファッション 1990年代からの関係性を探る」展(2020)を企画・監修。同展にはもと『Purple』編集長だったエレン・フライスを招聘し、同時期にアダチプレスから刊行された『エレンの日記』を翻訳。編・著作に『Baby Generation』(1996 リトルモア)、『拡張するファッション』(2011 スペースシャワーネットワーク)、『つくる理由』(2021 DU BOOKS)ほか。