「「小説を書くとは、決して起きなかったことを思い出すこと」とシリ・ハストヴェットは言っている。こういうことを言ってくれる人が世界に存在するなんて、なんだかすごくうれしくなってしまう。でも、わたしはたぶん、その意味では小説を書いたことがない。わたしはといえば、いつも起きたことばかりを思い出し、それらを虚構化するために書いている。あるいはすべて起きたことを、またあたらしく思い出すために。経験したこと／してないこと、起きたこと／起きなかったこと、過去／現在、そして事実／虚構。でも真実は？ かたむいた薄い壁に隔たれて、すべてのことが二つに分けられてしまうような世界で、事実の居場所はどこにある？」 ★ 2014年にinstagramに書いていたモニュメントバレー・セドナ・ロサンゼルスの新婚旅行記に、本編よりながーいフットノート（脚注）をつけてまとめた旅日記ジン。2014年の日記を読み返し、2019年の今、2000年代後半のLA留学時代を思い出しつつ、今になってようやく理解できたこと（政治的な意味もふくめて）なんかをつづっています。日記を書き、読み、日記を読み直し、書き直すことの意味とは。 128mm×182mm / 32p / ホチキス留め