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鷲田 清一(解説)
植田 真(イラスト)
わたしが生きてきたのは、生きたというよりむしろ、ただ死ななかっただけ−。在野の哲学者・戸井田道三の自伝的エッセイを復刊。生きるための力となった死と生をめぐる自身の体験を通して生きることの意味について語りかける。〔ポプラ社 1978年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
在野の哲学者である戸井田道三が青少年向けに書いた自伝的エッセイを44年ぶりに復刊。あらたに鷲田清一氏の解説と植田真氏のイラストを加えて生まれ変わりました。母親との死別、結核などの大病、関東大震災での朝鮮人虐殺……と、本書で取り上げられている戸井田の話は決してハッピーな内容ではありません。しかし、そんな辛い経験の中から戸井田は、「わたしが生きてきたのは、生きたというよりむしろ、ただ死ななかっただけなのだ」と思考します。そして、「生きのびているだけで、それが手柄だよ」という恩師の言葉を引き合いに出し、「生きることの意味」について語ります。そんな戸井田の言葉は、現代の若者にもきっと届くでしょう。
目次
自分と他人はとりかえられない
大事な、十四、五歳
最初のハードル
大森海岸でのこと
母の死
チイちゃんのひとこと
小学一年生のころ
母のない子の熱海
「おまえのためにびりだ」
いじめっ子のアブヨシ
田舎にあずけられて
犬を飼えない生活がある
水中に浮く変な感覚
四季のうつりかわり
父の結婚
『立川文庫』におそわって
新しい母
波音のとまる瞬間の深さへ
病気もわるいとはかぎらない
悪い本ときめたがるのは
死の淵からもどった目にうつるものの美しさ
試験は誰のためにある?
ゆれる大地、関東大震災
気のすすまぬ転校
流されたうわさ
ツネさんの絵
あとがきにかえて
解説(鷲田清一)
出版社: 新泉社
サイズ:19cm/283p
戸井田 道三
1909〜88年。東京生まれ。早稲田大学国文科卒。民俗学、人類学を援用した能や狂言の考察で知られた。「きものの思想」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。