other








ミロコマチコ最新刊は、じゃばら式絵本6冊のセットです。
人気絵本作家にして、画家としての活躍にも注目が集まる著者が、東北の人たちから聞いた野生動物にまつわるおはなし(あっちの耳)と、動物から見た創作のおはなし(こっちの目)を表と裏で対にして、広げてたのしむじゃばら式の絵本に仕立てました。紙芝居の前に座って、これからはじまる物語にワクワクするように、じゃばらをめくってパタパタ広げて、ぜひ声に出しで読んでください。そうやって、あっちの耳とこっちの目の世界に触れたら、きっと動物側の物語にも想像がふくらむことでしょう。本書は、たいせつな方へのプレゼントや親しい人への読み聞かせに最適な絵本です。
「カモシカ」「クマ」「ウサギ」「トリ」「ヘビ」「コウモリ」の6冊の絵本と、まえがき付きの別刷解説書を、オリジナルスリーブケースに収納しました。ケースの大きさはA4変型判(たて201ミリ×よこ297ミリ×あつさ16ミリ)、絵本(たて166ミリ×よこ128ミリ)は各16ページ、解説書(たて520ミリ×よこ336ミリ)は四つ折りになっています。ケースを開くとき、そして6つの動物の物語に出会うとき、ミロコマチコの描く生きものたちに圧倒されるはずです!
目次
・まえがき
・カモシカのおはなし
「カモシカとのかくとう」
「人間とのかくとう」
・クマのおはなし
「ある日、森のなか」
「ふしぎないきもの」
・ウサギのおはなし
「うわぎと思ったら…」
「しげみの正体」
・トリのおはなし
「金魚どろぼう」
「赤いくちばし」
・ヘビのおはなし
「ヘビの魔性」
「ヘビとネズミ」
・コウモリのおはなし
「コウモリの寝どこ」
「ぼくの夢」
・解説
・エピソード(カモシカ、クマ、ウサギ、トリ、ヘビ、コウモリ)
ー
動物の目になる
この6つの動物の立体作品は、「山形ビエンナーレ2016」のために作ったものだ。
はじめは、依頼を受けてから、しばらく悩んでいた。というのも、当時、キュレーターだった宮本武典さんから、「市民や学生のみなさんといっしょに何か作ることはできないか?」と、問いかけられていたからだ。ずっと一人で制作してきた私にとって、誰かと作品を生み出す想像がつかず、途方に暮れていた。確か、はじめての打ち合わせで「何もやりたいことがない」と、正直に伝えた。そのときの落胆した宮本さんの顔をはっきりと覚えている。
そこで宮本さんが、東北に生きる動物たちの話を聞いてみないかと提案してくれた。そのことにはとても興味があった。
後日、有志で集まってくださったみなさんと、はじめましての対面。すでにいくつかの話が集まっていた。それは近所の人や親からの聞き書きというスタイルで、話し言葉のままに文字に起こしてあった。それを聞いてきたご本人に読んでもらった。
独特の東北弁や擬音語。なじみのない動物。作り話ではないので、なんてことはない話だったりする。だからこそ、そのとき動物にとってはどういう出来事だったんだろう、と想像がふくらんだ。
同じシチュエーションでも、人間と動物とで違う物語がある。だったら、私が動物の目になって話を作ろう。表と裏があるような絵本を作りたい。東北弁の響きを体感できるような。そう考えると、昔の紙芝居屋のように、扉が開いたら中にお話がつまっているようなものがいいな、そうだ、それぞれのお話を主人公の動物が引っ張ってきて、紙芝居屋になってもらおう。スルスルとアイデアが出て、一気に道が開けた。
それから、みんなで6つの野生動物にまつわる体験談を集めた。その中から動物ごとに1話選び、そのときの動物側から見た話を創作し、山車(だし)の外側と内側にそれぞれ描いた。
2020年にはじまった美術館での巡回展「いきものたちはわたしのかがみ」では、学芸員の方が「この作品がターニングポイントだった」と解説してくださっている。私の身近にはいない、かかわりがないからこそ憧れて描いていた動物たちが、ぐっと近づき、かかわりはじめた瞬間だったようにも思う。動物たちは心を揺さぶり、創作意欲をかき立て、生き方にも迫ってくる。
この本は、その立体作品を書籍化したものだ。野生動物にまつわる話(あっちの耳)と、動物から見た話(こっちの目)を表と裏で対にし、広げる蛇腹状の絵本に仕立てた。紙芝居屋の前に座って、これからはじまる物語にワクワクするように、絵本を広げてもらえたらと思う。それ以外の、たくさんの人から聞いたお話から、動物側の物語を想像してもらいたい。そして、ぜひ声に出して読んでみてほしい。
ミロコマチコ
ー
発行:カノア
A4変型判 縦201mm 横297mm 厚さ16mm 104ページ じゃばら式絵本(縦166㎜×横128㎜、16ページ)6冊と解説書(520㎜×336㎜、四折り)をオリジナルスリーブケース(縦201㎜×横297㎜×厚さ16㎜)に収納した豪華セット