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『新版 雪に生きる』猪谷 六合雄

3,410円

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圧倒的な感動と共感を呼ぶ、昭和18年の名著を新装復刊しました! 著者の猪谷六合雄(いがや・くにお)は1890年、赤城山・猪谷旅館の長男として生まれました。生来の手先の器用さに加えて、何でもやってみる、何でも作ってみるという好奇心と情熱のかたまりのような人物で、10代のころからスケート、水彩画、油絵をはじめて、小さな組み立て小屋や飛行機の模型を作り、丸木舟を彫りました。 23歳の冬、粉雪の上に見慣れない二本のシュプールを見つけたことがスキーとの出合いでした。板と金具を自分で作って、毎日毎日粉雪の山へ出かける。そうやって、独学でスキーの技術を習得していきました。薪の上を偶然飛んだことがきっかけで、スキージャンプにも夢中になります。雪を求めて国後島、赤城山、さらに乗鞍へと移り住み、その先々でジャンプ台やゲレンデを建設し、世界に通用する練習法と指導法を確立しました。現地の人々と交流し、創意と工夫のつまった小屋を建て、薪ストーブなどの生活用具を作り、毛糸編み靴下まで開発するのでした。 そんな著者の半生を綴った、圧倒的な感動と共感を呼ぶ稀有な生活記録が本書です。さまざまなできごとが、丁寧な描写とみずみずしい筆致で描かれています。本人が撮影した当時の貴重な写真と小屋の平面図39点を収録し、読む者の心をとらえて離さない独自の世界観を再現しました。 昭和18年(1943年)に初版本が刊行された本書は、これまで新潮文庫(1955年)や岩波少年文庫(1980年)など、じつに7社が文庫化や復刊を繰り返してきた名著です。 この『新版 雪に生きる』は、『定本 雪に生きる』(1971年)を再編集し新装復刊した新版です。 「自序  私は先日、徳川義親氏の「きのふの夢」という随筆集を、大変面白く読んだ。  私のこの貧しい生活記録もまた、私にとって、きのうの夢であるかもしれない。これを今時局下に振り返ってみると、我ながらその生活目標が、悠長かつ不徹底であったように思えるが、しかし、その時々に、一つ一つ事柄に対しては、全く、工夫と精進の生活であったとも思える。  私たちは多くの場合、わずかな時間の無駄も惜しんでよく働いた。それはスキーばかりでなく、大工をしても、編み物をしても、畑を作っても、ほとんどいつも全人格的な情熱を打ち込んで精進を続けてきたと思う。  無論、その間には、多くの油断も隙間もあったに違いない。しかし、今は重大時局である。私たちはただいたずらに過去を嘆くのをやめて、一切の力を国に捧げなければならない。  では今の私たちに何ができるだろう。どうせ、ろくなことはできないかもしれないが、私たちにはまだ多少の情熱がある。採るに足る程のものでなくとも、まだ、工夫と精進を続けて行く力は残っているはずだ。  これをどこへ集中したら、一番役に立ち得るか。  私はこの稿の後半に至って、この重要問題を解決し、生活目標をより明確にしておいて一倍の努力をもって、新しく発足したいと念願した。  しかし、貧しい智慧を絞ってみても、それはなかなかやさしいことではなかった。だが、いろいろと思案したあげく、腰の浮かない自らの足元を掘るに如かずと気がついて、ようやく、一まず結論に到達した。私自身としては、その結論に信念を持っているつもりだが、万一間違っていたらどうしよう。  その時は、私たちの使い残した唯一の財産、工夫と精進する生活を持ってどこへでも出て行こう。 昭和十八年十月 猪谷六合雄」 著者プロフィール 猪谷 六合雄 (イガヤ クニオ) 自然ととも生き、生涯を暮らしの工夫と精進に費やした。日本スキーの草分け、先駆者と呼ばれ、長男の千春を冬季オリンピックの日本人初、さらに現在においてもアルペンスキー種目唯一のメダリストに育てあげる。明治23年(1890年)に群馬県の赤城山で旅館を営む家に生まれた。生来の手先の器用さに加えて、なんでも自分で作ろうとする好奇心と情熱のかたまりのような人物で、ジャンプ台、ゲレンデ、スキー金具、練習方法、毛糸編みの靴下の開発などから、家族の住む山小屋や薪ストーブなど生活用具の数々まで、独学で習得した知識と経験を活かして、身のまわりのあらゆる物を自作した。趣味の絵画や写真の技量は素人の域を超えており、文筆活動も精力的にこなした。71歳で自動車の運転免許を取得し、自ら改装したキャンピングカーの車内で生活しながら全国を旅した。明治、大正、昭和を生きた20世紀の傑物。昭和61年(1986年)死去、享年95歳。 交遊関係は幅広く、高村光太郎との家族ぐるみの付き合いや志賀直哉、里見弴、柳宗悦ら白樺派との交流もあり、皆それぞれの猪谷六合雄を文章に残している。六合(りくごう)とは、天地と東西南北の六方、つまり全宇宙という意味もあります。 発行:カノア 四六判 縦194mm 横139mm 厚さ40mm 重さ 600g 560ページ 上製

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