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もう一つの小さなものさしを いつも手元にしのばせておきたい
余計なこと、みにくさ、へり、根拠のない楽観… 法哲学という学問の世界に身を置きながら、「余白」に宿る可能性を希求しつづけた人が、余命のなかで静かな熱とともに残した随筆15篇。
昨夏に惜しまれつつも逝去した著者による、「京都新聞」での約2年間の寄稿をまとめた随筆集。
「何をしているのか、と尋ねられたら、遊んでいるんだとしか答えようがない」
「余計なことへの捨て身のうちこみが、私たちの生活になくてはならない手ごたえと手触りを与えている」――本文より
目次
家の中の余白 「能力」は本人のものか?
ありあわせの能力
もう一つのゴールデン・スランバー
つたなさの方へ
謝らない人
「忘れたこと」はどこに行ったか?
羨望と嫉妬
鞠と甕
悪筆
やらないではいられない、余計なこと
こける技術
黒めがね、マスクそして内心の自由
傘はいらない
大学の「へり」で
那須耕介(ナスコウスケ)
1967年生まれ。京都大学教授。専門は法哲学。おもな著書に『法の支配と遵法責務』『ナッジ!?』(共編著)(以上、勁草書房)、『社会と自分のあいだの難関』『バーリンという名の思想史家がいた』『ある女性の生き方』(以上、SURE)、共訳書に『熟議が壊れるとき』『メタフィジカル・クラブ』など。2021年9月7日逝去。享年53。
四六判並製変形 104 ページ
装丁 クラフト・エヴィング商會
ちいさいミシマ社