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『傷を愛せるか 増補新版』宮地尚子【文庫】

792円

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どれほど医療が進んでも、傷ついた心を癒す薬はない。悲痛に満ちた被害者の回復には何が必要か。 たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。 解説 天童荒太 【目次】 Ⅰ 内なる海、内なる空 なにもできなくても   〇(エン)=縁なるもの  モレノの教会  水の中   内なる海   泡盛の瓶   だれかが自分のために祈ってくれるということ   予言・約束・夢   Ⅱ クロスする感性――米国滞在記+α 二〇〇七―二〇〇八 開くこと、閉じること   競争と幸せ   ブルーオーシャンと寒村の海   冬の受難と楽しみ   宿命論と因果論   ホスピタリティと感情労働  右も左もわからない人たち   弱さを抱えたままの強さ 女らしさと男らしさ   動物と人間   見えるものと見えないもの   捨てるものと残すもの   ソウル・ファミリー、魂の家族   人生の軌跡   Ⅲ 記憶の淵から 父と蛇 母が人質になったこと   母を見送る   溺れそうな気持ち   本当の非日常の話   張りつく薄い寂しさ Ⅳ 傷のある風景 傷を愛せるか   あとがき   文庫版あとがき   解説 切実な告白と祈り 天童荒太   初出一覧   エピグラフ・出典 宮地尚子(みやじ・なおこ) 一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は文化精神医学・医療人類学。精神科の医師として臨床をおこないつつ、トラウマやジェンダーの研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)がある。

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