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短歌ブームは、ここからはじまった――。歌人・枡野浩一、デビュー25周年にして、待望の全短歌集刊行!
世の常として、他人に言えない孤独を歌にすると、他人に言えない孤独を抱えた、多くの人たちに愛される、のです。
そして、そのことは一切、誰の孤独も軽くはしないのです。
でも、歌は。
あぁ、歌は。
枡野さんのこの御本、とてもうれしい
――小沢健二
簡単な現代語だけでつくられているのに、読むと思わず感嘆してしまう「かんたん短歌」で若い世代の短歌ブームを牽引した歌人・枡野浩一。 デビュー25周年を記念して、入手困難になっていた短歌集『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』『ますの。』『歌』全収録作に、『結婚失格』など、その他の著作からの拾遺、未収録作を加えた決定版! 特別栞として、俵万智と枡野浩一の往復書簡も収録。
〈収録歌より〉
こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう
真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声
殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である
神様はいると思うよ 冗談が好きなモテないやつだろうけど
好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君
わけもなく家出したくてたまらない 一人暮らしの部屋にいるのに
消しゴムでこすったせいで真っ黒になってしまったようなサヨナラ
君はそのとても苦しい言いわけで自分自身をだませるのかい?
ツイッター「フォローさせる」は選べない 愛を強要できないなんて
終わったとみんな言うけどおしまいがあるってことは素敵なことだ
私には才能がある気がします それは勇気のようなものです
さようなら さようなら また会いましょう また別れたら また会いましょう
ニュースにはならない日にも虹は出て消えて私がおぼえています
四六判変形 並製 384ページ
名久井直子/装幀
左右社