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めくるめく言葉のたわむれに陶酔。ページをひらけば日常を忘れてうわのそらに。言葉が鳥のように舞い、囀り、知っていた世界を軽々と飛び越える。なんだ世界は、こんなにもきらきらと、夢みたいに、儚く、切ないものだった。
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(以下 公式サイトより)
英娘鏖
はなさいてみのらぬむすめみなごろし
現世(うつしよ)のカオスにひそむ言葉の華麗な万華鏡(ミクロコスモス)
────谷川俊太郎
『いつかたこぶねになる日』などエッセイでも活躍する俳人・小津夜景。
田中裕明賞を受賞した『フラワーズ・カンフー』に続く6年ぶりの第二句集。
【収録句より】
漣が笑ふいそぎんちやくの朝
蟬生(あ)れて死んで愛してゐた時間
莨火(たばこび)を消して裸足の身を焦がす
香水のちがふ白河夜船かな
パピルスや死後千年の音階図
君の瞳(め)を泳ぐおらんだししがしら
かささぎのこぼす涙をおつまみに
露実るメガロポリスよ胸も髪も
逃げ去りし夜ほど匂ふ水はなく
後朝のキリマンジャロの深さかな
【目次】
一 四季の卵
春はまぼろし
駒鳥の隣人
ルネ・マグリット式
カフェとワイン
ポータブルな休日
狂風忍者伝
冬の落書き
花と夜盗
胸にフォークを
二 昔日の庭
陳商に贈る
貝殻集
今はなき少年のための
AQUA ALLEGORIA
研ぎし日のまま
サンチョ・パンサの枯野道
三 言葉と渚
水をわたる夜
夢擬的月花的(ゆめもどきてきつきはなてき)
白百合の船出
小津夜景(おづ・やけい)
1973年北海道生まれ。2013年「出アバラヤ記」で第2回攝津幸彦賞準賞、2017年句集『フラワーズ・カンフー』で第8回田中裕明賞を受賞。その他、著作に漢詩翻訳つきの随筆集『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者・須藤岳史との共著『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』などがある。