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広島県庄原市にある書店「ウィー東城店」。
店長の佐藤友則さんは赤字続きだったこ の店を、「お客さんの要望にこたえる」という姿勢を徹底して貫くことで、黒字化さ せます。
こわれた電気機器の相談や、年賀状の宛名書き。山間の田舎の書店に望ま れることの多くは、高齢者たちの生活の相談にのることでした。それだけでなく、 店は美容院を併設し、エステルームをつくり、コインランドリーをもつくります。
本書はそうした「書店の複合化」の物語である一方、引きこもっていた若者たちが 書店をとおして成長していく物語でもあります。ある日、「学校に行けなくなった子 どもを働かせてほしい」と相談され、それからウィー東城店にはそうした若者たち が次々とやってきて、レジを担当し、棚を担当します。彼らはお客さんと接し、本と 接することで次第に快復し、何人かは社員となり、そのうちのひとりは佐藤友則さ んの次の店長となって、店を支えます。
装画、挿絵は『急がなくてもよいことを』で 注目を浴びる漫画家、ひうち棚さん。
本屋の可能性を伝える、感動的な一冊です。
208頁
四六版変形/ハードカバー
夏葉社