おんゆうじゅうが、おまんじゅうに似ているという一文に思わずにんまり。
『台湾生まれ 日本語育ち』の温さんが日本語の中でどう暮らしてきたか。日本語は自明ではないとあらためて思う。日本語に含まれている歴史や文化を思う時、きっと他の言語もそうで、自分がその言語で育ったらどうだろうと想像が働く。
国語とは何か、国籍とは、国境とは。当たり前が、ふりだしに戻った時初めて、自分の考えを他人と分かちあえる言葉というものの喜びに出会い直すことができる。
温さんの文章に呼応して紡ぎ出されたきたしまたくやさんの絵もとても豊かで、さまざまな思いが去来する。
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(以下 公式サイトより)
小説家、温又柔による信濃毎日新聞での連載企画「日本語に住みついて」( 2021年4月 ~ 2022年3月 )に、あとがきと制作メモが加わり本になりました。
連載中、挿絵を担当した絵描きのきたしまたくやによる12ヶ月分の絵に描き下ろし作品が追加されています。
日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)、発売から重版を重ねる『「国語」から旅立って』(新曜社)に続く第3エッセイ集です。
「 私にとっては、この日本語こそが、最も頼りがいのある言語であって、逆に言えば、 何をするのにも日本語にまずは頼らなければ、なかなかままならない。」
(本書より)
B6変形サイズ / 104p
温又柔|Wen Yuju
小説家。1980年生まれ。創作は日本語で行う。
著書に『台湾生まれ 日本語育ち』『魯肉飯のさえずり』
『永遠年軽』『祝宴』など。
きたしまたくや|Takuya Kitashima
絵描き。1983年生まれ。柴田元幸・小島敬太翻訳『中国・アメリカ謎SF』や
郝景芳『郝景芳短篇集』などの装画を担当。
また国内外で展示を行う。