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男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰の中に――。第168回直木賞受賞作。
戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
目次
赫然たる山
敷入り
湯の湧く湊
血の道
夜を駆ける
銀掘の病
曙光
千早茜 チハヤ・アカネ
1979(昭和54)年、北海道生れ。立命館大学卒業。幼少期をザンビアで過ごす。2008(平成20)年、小説すばる新人賞を受賞した『魚神(いおがみ)』でデビュ一。2009年、同作にて泉鏡花文学賞、2013年、『あとかた』で島清恋愛文学賞、2021(令和3)年、『透明な夜の香り』で渡辺淳一文学賞を受賞した。『あとかた』と2014年の『男ともだち』はそれぞれ直木賞候補となる。