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「イタリアのカフカ」とも称される作家・ディーノ・ブッツァーティによる まるで連載短篇小説のようなジロ・ディ・イタリア帯同記、しかも 史上もっとも有名な伝説的なジロの記録でもあり、 第二次大戦直後イタリア全国の詳細な様子も伺える、様々な局面で貴重なテキスト!
目次
序 クラウディオ・マラビーニ
1 街道の「下僕」は夜、大西洋フェリーで夢を見る
2 二つの母音がナポリ湾を走る選手たちを追う
3 競争は素晴らしい
4 ガリバルディが通った道を一〇〇人の選手たちが全速力で走り出す
5 ファツィオはおっ母さんとの約束を守る
6 エトナ山を一回りする客席の声
7 少し変なお爺さんがカンピオーネたちの跡を追う
8 コッピもバルタリもエボリで止まらない
9 カンピオーネの部屋は入室禁止
10 一瞬だが、バルタリがやられたかと思われた
11 モンテ・カッシーノの亡霊たちがジロのせいで目を覚ます
12 ローマからアドリア海への息もつかせぬ逃げ
付録1 カソーラがヴェネツィアとタッパ・ヴァランテを両方勝つ
13 「制限タイム」ルールの犠牲者たち
14 トリエステは泣き、歓声を上げ、カンピオーネたちに花を浴びせる
15 今日、ドロミテのアップダウンでの大事な戦い
16 嵐の中の熱い戦い、コッピが最大のライバルを打ち負かす
17 彼には敗者の役割は似合わない
18 「小物」が逃げても「大物」は動かない
付録2 モンテカチーニの競馬場で、レオーニがスプリントでコッピを下す
19 地元リグリア海の空気がロッセッロ兄弟に翼を与える
20 小さなパソッティは一人が長すぎた
21 老選手の嘆きの歌
22 本日のイゾアール峠に関する最高裁判決
23 アルプスでバルタリは強すぎるコッピに破れる
24 ピネローロからトリノへ、自分との戦い
付録3 コッピがジロ・ディ・イタリアに勝つ
25 自転車のおとぎ話よ、それは決して色あせることはない
訳者あとがき
出場選手一覧/ステージ順位
ディーノ・ブッツァーティ [Dino Buzzati] (1906―1972)
20世紀イタリアを代表する作家。その作風からイタリアのカフカとも称される。コッリエーレ・デッラ・セーラ紙の記者を続けながら作家として多数の作品を発表した。「山のバルナボ」「古森の秘密」「タタール人の砂漠」「ある愛」短篇集「七人の使者」など。
訳/安家達也 [あんけ たつや]
1956年生まれ。中央大学、青山学院大学非常勤講師。リルケ協会(Rilke-Gesellschaft)会員。 Ein japanischer Rilke-Nachruf, (Blätter der Rilke-Gesellschaft Bd.35, 2020), 訳書にハンス・ヘニー・ヤーン『岸辺なき流れ』(2014 共訳)、ベンヨ・マソ『俺たちはみんな神さまだった』(2017)、リルケ『若き詩人への手紙』(2022)など。
未知谷
216ページ