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武田力さんへのインタビュー「分断を越えるための演出術」、とても面白い。日本の加害の歴史を個人レベルに落としてひとりひとりに考えさせる。教科書に載らない暮らしの声を聞くことで、相手をただ否定するのではなく、考える手掛かりになる。そういった意味で、檀上遼さんの聞き書き「営業のさちよさん」が同時に読めるのはとてもいい構成で、後ろを振り返りつつ前を向くきっかけになる文芸誌です。
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(以下、公式サイトより)
「やすい」や「おいしい」ではない、一歩踏み込んだアジア。ウェブメディア「Offshore」が紙の雑誌としてリニューアルした、アジアを読む文芸誌『オフショア』の第三号。
■武田力インタビュー「分断を越えるための演出術――俳優と民俗芸能の経験から」
聞き手・構成:山本佳奈子
■「芸術と力 ジョグジャカルタの知」金悠進
■「私は如何にして心配するのを止めてマレーシアの生活を楽しむようになったか」友田とん
■連載・第三回「台湾における市民による地下メディア実践と民主化との関係――1990年代の台湾の地下ラジオ運動を軸として」
『巻き起こった地下ラジオ旋風』和田敬
■聞き書き・第三回「営業のさちよさん」檀上遼
■「プンムルと追悼――演奏を通じた加害の歴史の語りなおし」齊藤聡
■「わたしと、中国の幾つかのこと」長嶺亮子
「後ろを振り返りながら前を向く」。
日本における、日本以外のアジア地域の音楽・アート・カルチャーの受容は、グローバルな情報社会のおかげで何の垣根もなく進んでいます。過去の日本が行った植民地政策や侵略者としての歴史を忘却してしまったとしても、交流していけるのかもしれません。しかしオフショアは、カジュアルな交流のその一歩向こう側に踏み出して、日本とアジアの関係の適切な積み重ね方を探ります。
四六判・並製本・176ページ・モノクロ
表紙装画:胡 沁迪(フー・チンディ)
ロゴ・表紙デザイン:三宅 彩