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人の感覚を、認識を、絶対に経験できないからこそ知りたいと小説を書いている柴崎さんが、ADHDの診断を通じて自分の内側で起こっていることを書いた本書は、だからこそ、他者が生きる世界を体験することができる。わかる部分と、わからない部分。そのわからない部分を知り、考えることが、わたしの新たな始まりになる。
「だめ」と「自分」を直結させないで、脳内の励ましの歌コーラス隊がちょっと困った感じと思うと気持ち的に余裕ができる、など柴崎さんの実感が詰まっているのでとても面白く、支えになります。
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(以下、公式サイトより)
私の体の中には複数の時間が流れている。
眠い、疲れる、固まる、話が飛ぶ、カビを培養する。それは脳が励ましの歌を歌ってくれないから?──ADHDと診断された小説家は、薬を飲むと「36年ぶりに目が覚めた」。私は私の身体しか体験できない。にしても自分の内側でいったい何が起こっているのか。「ある場所の過去と今。誰かの記憶と経験。出来事をめぐる複数からの視点。それは私の小説そのもの」と語る著者の日常生活やいかに。SFじゃない並行世界報告!
シリーズ ケアをひらく
A5 304ページ
医学書院