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わたしたちはどんな痛みからも解き放たれる。泳いでいる、そのときだけは。
過食、リストラ、憂鬱症――地下の市民プールを愛し、通いつめる人達は、日常では様々なことに悩み苦しんでいる。そのうちのひとり、アリスは認知症になり、娘が会いに来ても誰なのかわからなくなって、ついに施設に入ることになる。瞬時にきえてしまうような、かけがえのない人生のきらめきを捉えた米カーネギー賞受賞作。
ジュリー・オオツカ Otsuka,Julie
1962年、戦後アメリカに移住した航空宇宙エンジニアである父と、日系二世の母とのあいだにカリフォルニア州に生まれる。イェール大学で絵画を学び、コロンビア大学大学院で美術学修士号取得。2002年、小説『あのころ、天皇は神だった』を発表、高評を博す。2011年刊行の『屋根裏の仏さま』は、PEN/フォークナー賞、フランスのフェミナ賞外国小説賞ほかを受賞、全米図書賞最終候補作となった。『スイマーズ』で米カーネギー文学賞受賞。
小竹由美子 コタケ・ユミコ
1954年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。訳書にマギー・オファーレル『ハムネット』『ルクレツィアの肖像』、アリス・マンロー『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』『ディア・ライフ』『善き女の愛』『ジュリエット』『ピアノ・レッスン』、ジョン・アーヴィング『神秘大通り』、ゼイディー・スミス『ホワイト・ティース』、ジュリー・オオツカ『あのころ、天皇は神だった』『屋根裏の仏さま』(共訳)、ディーマ・アルザヤット『マナートの娘たち』ほか多数。
新潮クレスト・ブックス
Kashiwai/Illustration、新潮社装幀室/デザイン
四六判変型 160ページ