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『北朝鮮に出勤します 開城工業団地で働いた一年間』キム・ミンジュ / 岡裕美 訳

2,200円

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毎週月曜の朝、ソウル市内でバスに乗り込み、軍事境界線を越えて北朝鮮に出勤。 平日は北の職員たちと“格闘”し、週末は韓国に戻る。 南北経済協力事業で北朝鮮に造成された開城(ケソン)工業団地。 20代の韓国人女性が開城で経験した特別な1年間と、北の人々のありのままの素顔を綴ったノンフィクション。 〈ソウルから一時間ほどの距離なのに——。 彼女たちの苦労は、私の祖母の世代の苦労と変わらないと思った。でも、彼女の年齢は二三歳だった。 生きていれば一〇〇歳を超えている祖母が二三歳だった頃の日常が、私の目の前にいる若い母親の日常だった。〉 〈北の人はほとんどの場合、一人だけでいるときは純朴そうに笑いながら頭を下げてあいさつし、二人以上になると目を伏せて無表情で通り過ぎる。それを知ってからは、傷つくこともなかった。この体制の中で共和国の規定に背けば、南で想像できるような懲戒とは次元の異なる処罰が与えられるだろう。そんな状況に南の人も北の人も傷つくことのない日がきてほしい。誰がそばにいようと心から歓迎し、笑うこともできる自由が早くやってくることを願う。————本文より〉 目次 日本の読者の皆様へ はじめに I 開城で感じた春 開城に足を踏み入れた日 北朝鮮歌謡、心に残る人 〝あのお方〟の顔が描かれたバッジ? 太極旗が描かれたバッジ? マキシムコーヒーは韓国をのせて——開城への物品搬入 税関は黒いビニール袋を持って——サムギョプサルの上納 花束と参事官のおじさん、そして金正哲とエリック・クラプトン 給食施設の残飯と生ごみはどこへ? 一本のキンパから実感する南北の経済格差 三〇〇〇人分の食材、そして北朝鮮冷麵? いいえ、開城工業団地風冷麵! II 開城で体験した夏 賃金戦争とカレイ事件 北の労働者はNG、平壌市民はOK 八月一五日、南は光復節、北は解放節 食事会の日は〝お持ち帰り〟が当たり前? ヒャンイの妊娠と職員たちの〝総和〟 ヒョスクの大事なぶどう、一房は嫁ぎ先に、もう一房は実家に 一トントラックで休戦ラインを越え結婚式へ! 木箱地雷事件が開城工業団地の人々に及ぼす影響 III 開城で過ごした秋 統一の花、林秀卿 「ありがとう」と言うのはそんなに大変? 田舎者のような北の軍人、シティボーイのような南の軍人 宗教書の一節を理由に罰金一五〇ドル 北朝鮮女性たちの労働時間 USBと罰金二〇〇ドルで南北が一致団結 IV 開城で出会った冬 班長さん、みかんが必要なら先に言ってください 職員たちに渡したかったお餅、果物、そしてパン 免税店で働く北朝鮮女性 警備員さんと私 南北でキムチ交換 いまも思い出す北の職員、リ・スンヒ 一二月一一日、南北会談の日の冷泉サイダー 北のエリート女性、スヒ 一月六日の核実験、そして玄関前の北の配達員たち 開城に入るまで おわりに 訳者あとがき キム・ミンジュ(김민주) 北朝鮮で1990年代に多くの餓死者を出した食糧難「苦難の行軍」をきっかけに北朝鮮の食糧問題に関心を持ち、韓国統一部と国連世界食糧計画(WFP)での勤務経験をもとに栄養学の修士号を取得。開城工業団地内の食堂を運営する韓国企業に就職し、2015年春から同団地で勤務した。2016年2月に開城工業団地が閉鎖された後は、北朝鮮離脱住民支援財団で定着支援業務を担当。さまざまな地域からの脱北者と交流しながら北朝鮮に対する視野を広げ、平和・統一のための講演やボランティアなどの活動を続けている。 岡 裕美(オカ・ヒロミ) 同志社大学文学部卒業、延世大学校国語国文学科修士課程卒業。 第11回韓国文学翻訳新人賞受賞。 訳書に、キム・スム『さすらう地』(新泉社)、同『ひとり』(三一書房)、イ・ジン『ギター・ブギー・シャッフル』(新泉社)、キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します——開城工業団地で働いた一年間』(新泉社)。 共訳書に、『韓国文学の源流 短編選1 1918-1929 B舎監とラブレター』(書肆侃侃房)、『韓国・朝鮮の美を読む』(野間秀樹・白永瑞編、クオン)など。 装画・装幀:北田雄一郎 四六判 200頁 新泉社

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