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『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』奈倉有里 ※サイン入り

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夜 街路 街灯 薬局 無意味で ぼやけた光 あと四半世紀 生きても なにも変わらない 出口はない 死ぬのなら また初めから始まる すべては繰り返す 昔日と同じに 夜 凍てつく水路の さざなみ 薬局 街路 街灯 ブロークの詩が身に染みるのは、社会の矛盾と対立が急激に深まり、もはやなにか大きな社会変動が避けられないような運命のときを待っているような時代である。……なにかが起こる、という予感とともに詩作を続けたブロークの作品が今こそ読み返され、繰り返す歴史の意味を感じとり、考えるための動力となることを願う。 (「あとがきに代えて」より) 目次 プロローグ 舞台上の死 第一章 ペテルブルグ大学に生まれて 一 女学生のような母親 二 初めからいない父親 三 植物学者の祖父 四 となりの化学者一家 五 ベケートフ家の四姉妹 六 雑誌ごっこと演劇ごっこ 七 燃えはじめた炎 第二章 初恋とアナムネーシス 一 初恋と詩作の始まり 二 マリヤによる描写の揺らぎ 三 詩人の誕生 四 別れ 五 記憶の消去と忘却 六 アナムネーシスによる創作 七 理想の火 第三章 初めての詩集 一 ハムレットとオフィーリア 二 創作と生活 三 死と婚約 四 初詩集の出版 五 麗しの貴婦人の詩 六 モスクワへ 七 火の尊敬 第四章 岐路に立ち 一 戦争と革命 二 三角関係……? 三 思いがけない喜び 四 小屋芝居 五 かの女 六 繰り返す決闘未遂 七 火災と焼死への希求 第五章 批評との闘い 一 批評家を黙らせるブローク 二 「後世の歴史家」恐怖症 三 解釈の行く先 四 現代の状況 五 詩の内包する問題 六 舞台への鍵 七 思想を超える火 第六章 雪の日々から 一 雪と演劇 二 運命の歌 三 トルストイという太陽 四 赤子の死 五 イタリア詩篇 六 三つの死 七 火と雪と闇 第七章 煙のなかで 一 夜のとき 二 報復 三 薔薇と十字架 四 カルメン 五 煙と炉端の夢想 第八章 自伝と伝記研究 一 伝記研究の課題 二 父方の出自 三 『自伝』と「ドイツ」問題 四 文学の影響問題 五 『自伝』と文学の影響問題 六 「ナショナリズム」と解釈の食い違い 七 解釈の食い違いはどこに生じているのか 第九章 世界の火災 一 世界大戦と沈黙 二 物語詩『十二』の成立過程 三 世界の火災 四 発表後 五 革命本部での実務と逮捕 六 静寂と火葬 七 「火」の両義性による統一性 現代へ ――あとがきに代えて 略年譜 /主要ロシア語文献  奈倉有里 [なぐら ゆり] 1982年12月6日東京生まれ。ペテルブルグの語学学校でロシア語を学び、モスクワ大学予備科を経て、ロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業、「文学従事者」という学士資格を取得。帰国後、東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。研究分野はロシア詩、現代ロシア文学。2021年、博士論文『アレクサンドル・ブローク 批評と詩学――焼身から世界の火災へ』で第2回東京大学而立賞を受賞。著書に『夕暮れに夜明けの歌を――文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス)、訳書に、ミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『マーシェンカ』(『ナボコフ・コレクション マーシェンカ/キング、クイーン、ジャック』新潮社)、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』『赤い十字』(集英社)など。 四六判上製416頁 未知谷

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