other
暗さとユーモアと烈しさと
誰も聞いてくれなかった 何度言っても。彼女が叫んで叫んで叫んだのは「狼」じゃなかった 叫んだのは彼女には言えないことだった。
(「誰も」)
「この本は、小著ながら、そうした彼女のさまざまな文体のショーケースとなっている観がある。加えて、文章が絵と対話していることによって、文章自体にも新たな奥行きが加わっている。絵を見て、文を読んで、また絵を見て……と往復していると、いつまでも抜け出せなくなるような呪縛力のある一冊である」(柴田元幸・訳者あとがき)。
絵と文の鮮烈な共作、15の小さな肖像画。
カラー15点収録。
装幀=中島浩
四六判並製・112頁
思潮社