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ハンセン病のため隔離された療養所で創作に情熱を燃やしながら、夭折した稀有の作家の文業を精選する。
北條民雄(1914-37)は19歳でハンセン病の宣告を受け全生病院に入院してから僅か三年半で夭折した。隔離された療養所で様々な差別・偏見に抗しつつ身を刻むようにして記された彼の言葉は絶望の底から復活する生命への切望を証しする文学であった。川端康成によって見出されたこの稀有の作家の文章を、小説、童話、随筆、書簡、日記から精選する。
目次
小説
いのちの初夜
間木老人
吹雪の産声
望郷歌
童話
可愛いポール
すみれ
随筆
発病
発病した頃
眼帯記
書けない原稿
独語――癩文学ということ
柊の垣のうちから
井の中の正月の感想
断想
日記(抄)
一九三四(昭和九)年
一九三五(昭和十)年
一九三六(昭和十一)年
一九三七(昭和十二)年
書簡(抄)
川端康成への書簡
臨終記……………東條耿一
注解
解説……………田中 裕
略年譜
岩波文庫 ・ 374頁