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いい詩とは,ひとの心を解き放つ力をそなえているばかりか,生きとし生けるものへのいとおしみの感情をも誘いだしてくれます.詩人である著者が,その心を豊かにしてきた詩の宝箱の中から忘れがたい詩の数々を選びだし,情熱をこめて語ります.ことばの花々にふれてみなさんは,きっと詩の魅力にとらえられるでしょう.
目次
はじめに
1 生まれて
かなしみ……谷川俊太郎/芝生……谷川俊太郎/I was born……吉野弘/祭……ジャック・プレヴェール/伝説……会田綱雄/春の問題辻征夫
2 恋唄
みちでバッタリ……岡真史/十一月……安西均/それは……黒田三郎/僕はまるでちがって……黒田三郎/君はかわいいと……安水稔和/鳩……高橋睦郎/葉月……阪田寛夫/練習問題……阪田寛夫/顔……松下育男/海鳴り……高良留美子/木……高良留美子/男について……滝口雅子/秋の接吻……滝口雅子/ふゆのさくら……新川和江/助言……ラングストン・ヒューズ
3 生きるじたばた
くるあさごとに……岸田衿子/見えない季節……牟礼慶子/夕方の三十分……黒田三郎/ひどく……川崎洋/言葉……川崎洋/海で……川崎洋/地名論……大岡信/ちびへび……工藤直子/てつがくのライオン……工藤直子/便所掃除……濱口國雄/住所とギョウザ……岩田宏/風……石川逸子/寂しさの歌……金子光晴/愛……谷川俊太郎
4 峠
小学校の椅子……岸田衿子/一生おなじ歌を 歌い続けるのは……岸田衿子/新しい刃……安西均/生命は……吉野弘/その夜……石垣りん/くらし……石垣りん/諸国の天女……永瀬清子/旧い友人が……河上肇/老後無事……河上肇/味噌……河上肇
5 別れ
幻の花……石垣りん/悲しめる友よ……永瀬清子/羊の歌……中原中也/アランブラ宮の壁の……岸田衿子
茨木のり子(いばらぎ のりこ)
1926-2006年.1946年東邦大学薬学部卒業.敗戦後の新しい息吹きにつき動かされ,1950年頃から詩作をはじめる.詩誌『詩学』に投稿し,同誌新人特集号に掲載.1953年川崎洋氏と2人で,同人詩誌『櫂』を発刊.詩集『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『人名詩集』『自分の感受性くらい』,エッセイ集『言の葉さやげ』,詩人の伝記『うたの心に生きた人々』などがある.
岩波ジュニア新書 242頁