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2024年にVacant/Centre(東京)とElbereth(京都)で開催された展覧会のために制作された作品集。
フランス南西部の村の女性たちに、自分で集めた白いウールの衣服を着せて撮影した写真と、エレン自身の回顧録的な日記で構成されています。
表紙は、写真を複製した2色のリソグラフプリント。
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(以下 版元の展示情報ページより)
1992年にインディペンデント雑誌の先駆けである『Purple Prose』を刊行し、その後もアートとファッションを中心とした個人出版の雑誌をつくり続けてきた編集者、エレン・フライス。Vacantでは2014年に世界各国40名以上のアーティストの作品とテキストを収録した『Les Chroniques Purple』の書籍を共作し、展示を開催しました。
今回、東京と京都の展示のために制作された、彼女の写真作品とヴィンテージの衣服を織り交ぜた新たな作品群を発表します。開催に合わせ、十数年の時を駆けるように綴られる彼女のダイアリーと、写真作品が交差する冊子『L’Hiver』を刊行します。
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私が撮影した3人の女性は、私と同じ村やその周辺に住む友人たちだ。しかし、私と同じように、彼女たちもまた別の場所からやって来た。オフホワイトのウールの服を着て、冬景色の中を歩く女性たちのビジョンが浮かんだ。私はそこから出発した。それ以外のポスト工業地帯の風景、原子力発電所、そして化粧品でさえも、すべて偶然の産物であり、偶然に私のプロジェクトの方向性を変えた。
「偶然の産物」というのは、予想外のことが起こるのを受け入れることにした、という意味だ。
私は長年、偶然の一致や予期せぬ出会いに興味を持っていた。ダダとシュルレアリスムを専門に扱う画廊を経営していた父のもとで、コンセプチュアル・アート(概念芸術)を学びました。20代前半から15年間、私はコンテンポラリー・アートに生きてきた。「生きた」というのは、それが私の人生であり、友人であり、恋人であり、旅だったからだ。美や詩という言葉が、このアート時代にいかに発音されなかったか、そしてアートを作るための主な道具が脳であったかを、後になって思い知らされた。そこから抜け出し、自分の道を見つけるまでに約20年かかった。
2018年、私は村のアートセンターで小さな展覧会をすることになった。私はインフルエンザを克服したばかりで、娘の父親とも最近別れたばかりだった。私の身体と脳の働きはとても遅かった。それでも、私はその展覧会にイエスと答えた。とても気分が落ち込んでいて、アイデアもなかったけれど、展覧会をやらなければならないと思った。私は自分の写真のファイルを見て、あるイメージから始め、別のイメージにリンクさせ、また別のイメージにリンクさせ......と繰り返した。何も考えず、何も思いつかず、ただ自分の目で見た。50枚ほどの画像を選び、さまざまなサイズでプリントした。壁には、星座のように画像を貼り付け、ある画像から次の画像へと繋いでいった。それは、視覚的な詩を作るようなもの、あるいはミュージシャンのように即興で演奏するようなものだと気づいた。
そこから私は自分の作品に新たな方向性を見出し、今では他の糸をたどるためにコンセプチュアルになることを避けている。
エレン・フライス
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Elein Fleiss エレン・フライス
1992年にインディペンデント雑誌の先駆けである『Purple Prose』を刊行し、以降『Purple』『Hélène』『The Purple Journal』など、アートとファッションを中心とした個人出版の雑誌をつくり続けてきた編集者。
画廊を営む両親の元に育ち、幼い頃からアートに親しんだエレンの自由な発想で、ウォルフガング・ティルマンスやアンダース・エドストローム、マーク・ボスウィックらの、アートの精神を背景に持つ自由なファッション写真を生み出し、それまでのファッション誌とは異なる革新的な誌面をつくりだした。
現在は南フランスのサンアントニン・ノーブル・ヴァルという美しい村に住みながら、『Le Batèl』というショップを営んでいる。
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限定400部
Cosmic Wonder & Vacantより出版
2024年
サイドホチキス留め 14.8 x 19.6cm 24ページ