new

-
サイン入り
¥1,100
-
通常版
¥1,100
これまで日記も書いたことのない70歳の著者による、はじめての私小説──。これは私小説なのか、随筆なのか、はたまた回想録か。
70年の生を振り返り、いまでも自分の存在を支えてくれる大切な断片を描く。姪っ子の「ユカちゃん」、母に料理を学ぶ「ワカメスープ」、中学生が働く「パチンコ屋」、定年を迎え最後の仕事となった「清掃員のパートナー」、表題作「トレーニング」のほか、長編「南房総富浦」など全9編。
・目次
ユカちゃん
ワカメスープ
パチンコ屋
駐車場
清掃員のパートナー
トレーニング
床屋
墓参り
南房総富浦
著者インタビュー
あとがき
・著者略歴
木耳(きくらげ)
1954年11月生まれ、午年。高円寺庚申通り育ち。杉並第四小学校卒業。
・「シリーズ人間」とは
基本的に商業デビューしていない様々な立場の書き手を著者に立て、エッセイや小説、詩、短歌、4コマ漫画、画集、写真集とジャンルレスな内容(基本:文+インタビュー)の文庫シリーズを目指します。これから年3冊ペースで刊行予定。
・創刊のことば
──シリーズ人間発刊に際して──
デヴィッド・フィンチャー監督作品に『SE7EN(セブン)』という映画がある。その作品について考えるとき、豪華な俳優陣や度肝を抜かれるような物語ではなく、あるシーンが思い出される。
ベテラン刑事・サマセット(モーガン・フリーマン)が新米刑事・ミルズ(ブラッド・ピッド)の妻からディナーに誘われ、3人で食事をともにするシーンである。
突然、3匹の大型犬が吠え、地響きが起こり家は大きく揺れる。3人は一瞬黙り、サマセットが失礼といい大笑いをはじめると、それに釣られミルズ夫妻も笑いはじめる。不動産屋に騙されて、地下鉄が走るたびに揺れる家を契約したことを恥ずかしそうにミルズが白状する場面だ。
物語の伏線になる大事なシーンというわけではない。しかしそのシーンはある人にとって『セブン』のすべてである。
本シリーズでは、いつもなら見落とされてしまうような瑣末なことを描くことに主眼を置いている。著者の人生をわかりやすく紹介するようなものではない。ただ、どんな人もそれぞれの仕方で世界を見ていて、その断片こそが存在を支えているのではないだろうか。だれもが忘れてしまいそうな断片によって、その人間の姿をありありと浮かばせてみたい。
(2025年1月 新世界編集部)
A6文庫判 / 並製(カバーあり)/ 80ページ
装画・ロゴ:散歩鳥
装丁・組版:山内宏一郎 (SAIWAI DESIGN)
発行所:新世界(秋月圓とは別レーベル)
(版元サイトより)