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『疫病と人文学 あらがい、書きとめ、待ちうける』編:藤原辰史・香西豊子

3,630円

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私たちを不意打ちしたパンデミックに対して、人文学は無力だったのだろうか。そうではない。私たちは過去の歴史に、あるいは人類の英知に学ぶことができる。同じ過ちと苦しみを繰り返さないために──一三人の執筆者が、コロナ禍によってもたらされた傷を書きとめ、未来へ紡ぐ。暗中模索する人文学の、いまひとたびの挑戦。 目次 序章 暗中模索の人文学――つぎの疫病に向けて……………藤原辰史  1 はざまの人文学  2 終わりきらないコロナ禍  3 歴史に学ぶ  4 第一次世界大戦と疫病  5 政治災害としてのコロナ禍  6 人文学の課題としての疫病 Ⅰ 疫病の現場から 罰を受ける母親たち――コロナ禍が映し出すジェンダー不平等とケアの危機……………直野章子  はじめに――追い詰められる母と子  1 ケアに向かう女たち  2 ジェンダー格差とケア・ペナルティ  3 ケアに背を向ける社会  4 ケアの広がり――自立神話に抗して  おわりに 水際のインターセクショナリティ――わたしの身体のコロナ、汚れ敗北した、アーカイヴとしての……………新井 卓  はじめに  1 「ステイホーム」の身体、蚕と千人針と虱  2 パンデミック下のわたしの立場性――日本の〈水際〉で家族と引き裂かれる  3 ヘルシンキの汀で、汚染と敗北、そして自由  4 ベルリンとパレスチナの〈水際〉  おわりに 「健康」を賭した選択――予防接種の歴史からの問い……………香西豊子  はじめに  1 江戸時代の疫病と対処法  2 種痘の一世紀  3 予防接種の「副反応」の再発見  おわりに パンデミック下における仏教諸派の変貌――教義・法要・葬儀の観点から……………リュウシュ マルクス  はじめに  1 仏教と疫病の小史  2 各宗派のパンデミックに対する声明とその教義的背景  3 コロナ禍における法要の目的と法要のスタイルの変容  4 変わりゆく葬儀とコロナ禍が及ぼした影響  おわりに――コロナ禍を刷新のチャンスと捉えて Ⅱ 過去から現在を投影する 受肉化された「公衆」――近代日本の衛生における「公」と「私」……………香西豊子  はじめに  1 「往来」の衛生  2 「公衆衛生」への疑義  3 「Hygiene」の日本的展開  おわりに 日本資本主義のなかの流行性感冒……………小堀 聡  はじめに  1 流行性感冒の被害と対策・影響  2 資本は流行性感冒をどうみたか  3 個別企業からみる流行性感冒  おわりに 手洗いと石鹸の一〇〇年――統治されない身体の可能性へ……………岩島 史  はじめに――新型コロナウイルスパンデミックと石鹸・手洗い  1 日本における「手洗い」のはじまり  2 戦後の手洗いと石鹸  おわりに 感染症予防啓発のメディア史――戦前日本の衛生映画に注目して……………藤本大士  はじめに――メディアを駆使して感染症対策を広める  1 戦前日本における衛生映画の興隆  2 衛生映画はどこで誰のために上映されたのか  3 衛生映画は誰が製作したのか  4 衛生映画の限界  おわりに――感染症対策と動画メディアの今昔 近世後期天草の疱瘡体験――流行病が村や個人にもたらしたもの……………東  昇  はじめに  1 せまりくる疱瘡への村の対応――「慶助崩」が遺したもの  2 翻弄されても生き抜く――家・個人それぞれの影響  3 個人に体験された疱瘡――庄屋の妻「上田さほ」の養生記録から  おわりに Ⅲ 他者との遭遇と変貌 ウイルスの変容、ヒトの変容――いたちごっこと因果関係の循環……………粂田昌宏  はじめに  1 ウイルスの拡散と変容  2 コロナウイルスの生活サイクルと変異  3 ウイルスの変容とヒトの変容のいたちごっこ  4 いたちごっこの行く末  おわりに――いたちごっこはおわらない 「軍事空間」としてのパンデミック――COVID-19とマラリア……………瀬戸口明久  はじめに  1 計算される世界――感染症数理モデルの誕生  2 監視される世界――感染症サーベイランスの誕生  おわりに――ペスト・天然痘・マラリア 手の不穏な物神性――あいまいで多義的な手洗いについて……………酒井朋子  はじめに  1 清潔の文化史における例外的な身体部位としての手  2 手の不穏なエージェンシーと伝染  おわりに 驚きを待ち受ける――人間‐野生の関係と人獣共通感染症……………石井美保  はじめに  1 「人類への警鐘」としてのパンデミック  2 感染症に対処する社会の技術  3 感染症への対処と生政治  4 人と野生との関係  5 驚きを待ち受ける  おわりに 終章 「死者」からみる疫病……………香西豊子  はじめに――疫病の「なぜ」と「どのように」  1 近世期における医薬の領域の拡大  2 伝播する病原体、人体という器  3 「死者」を数える近代  おわりに  あとがき……………編  者 【編者】 藤原辰史(ふじはら たつし) 京都大学人文科学研究所准教授.専門は農業思想史,環境史.主な著書として『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社,2019年),『決定版 ナチスのキッチン――「食べること」の環境史』(共和国,2016年)など. 香西豊子(こうざい とよこ) 佛教大学社会学部現代社会学科教授.専門は医学史,医療社会学.主な著書として『種痘という〈衛生〉――近世日本における予防接種の歴史』(東京大学出版会,2019年),『流通する「人体」――献体・献血・臓器提供の歴史』(勁草書房,2007年)など. 【執筆者】(五十音順) 新井 卓(あらい たかし) 石井美保(いしい みほ) 岩島 史(いわしま ふみ) 粂田昌宏(くめた まさひろ) 小堀 聡(こぼり さとる) 酒井朋子(さかい ともこ) 瀬戸口明久(せとぐち あきひさ) 直野章子(なおの あきこ) 東 昇(ひがし のぼる) 藤本大士(ふじもと ひろし) リュウシュ マルクス(Rüsch, Markus) A5・並製 ・358頁 岩波書店 (出版社HPより)

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