今回は、国際ポエトリィサイト「crossing lines」で企画され、詩人のぱくきょんみさんに私の「どこからともなく どこへともなく」の作品から着想を得て書き下していただいた素敵な詩を本にしています。紡ぎ出された言葉は、1人の女性の痛みと葛藤そして受容が静かに語られていました。目を背けたいこと、背けてはいけないことの感覚を呼び戻して。心に刺さる言葉たちに呼応するように画を選び、対話し、出来上がりました。皆様の心の奥に届きますように。
ー 野原かおり
(あとがきより)
■ 響きあうラインたち
この絵画と詩の本は、東京表参道のヘアサロンomotesando atelierで開催される野原かおり個展「どこからともなく どこへともなく」および国際ポエトリィサイト「crossing lines」の企画として、詩人のぱくきょんみさんを招いて制作されました。ぱくさんは、かの「薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇である」のアメリカ女性詩人ガートルード・スタインの研究者・翻訳者としても知られ、韓国と日本の重なりあいのうちに、実験的な詩を紡いでこられました。どこからともなく、日々の海辺に砂紋のように顕われては、どこへともなく、あしたの波になってたゆたう野原さんのドローイング。そのline (描線)と、ぼくの憧れの詩人のline (詩行)は、きっと生命の奥底で琴線しあい、共振するだろうーそんな夢想からも、おふたりの共同制作は叶いました。美事な成果はご覧のとおり。詩と絵画はおなじ海から生まれたのではないでしょうか。アラビア語で海はババールといいます。その語源は古代エジプト語のヌン(水)ー太古の水瓶に描かれた波形とも文字ともつかない、線とリズムなのですから。
詩人 石田瑞穂
サイズ H257xW182mm
製本 中綴じセンターミシン
頁数 16ページ+透写紙カバー
sibiraLLC
『どこからともなく どこへともなく』野原かおり
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