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不確かな現実を綱渡りで生きる人々を描いた、アメリカ文学史に燦然と輝くJ.D.サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』が河出文庫化!
砂浜で男が少女に語る、ある魚の悲しい生態(『バナナフィッシュ日和』)、客船で天才少年に起きた出来事(『テディ』)。
“小説を訳すのはいつでも「耳を澄ます」営みだが、この『ナイン・ストーリーズ』を訳していたときは、いつにも増して、語り手や登場人物の言葉や息づかいに耳を澄まし、彼らのしぐさや周りにあるいろんな物に目を凝らしていた気がする。”
とヴィレッジブックス版の訳者あとがきで書いた柴田元幸さん。
今回の河出文庫化ではササキエイコさんが装画を担当し、「21世紀のサリンジャー」が生まれたと柴田さんは仰っています。
あらためてシーモアたちの声、“世界に対してムカツいていたり、過剰な自意識を抱え込んでいたり、傷から癒えるすべを探っていたりするサリンジャー世界の人たち”の声に耳を澄ましていただけたら。
J・D・サリンジャー (ジェイディーサリンジャー)
1919年、ニューヨーク市生まれ。40年に短篇「若者たち」を発表。51年に刊行した『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が世界的ベストセラーとなる。65年6月以降、沈黙を続けた。2010年没。
柴田 元幸 (シバタ モトユキ)
1954年東京都生まれ。翻訳家、東京大学名誉教授。P・オースター、S・ミルハウザーをはじめ現代アメリカ小説の翻訳多数。著書に、『生半(半=旧字)可な學者』(講談社エッセイ賞)など。