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『ケアと編集』白石正明【新書】

1,056円

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もはやこれまでと諦めてうなだれたとき、足元にまったく違うモノサシが落ちている。与えられた問いの外に出てみれば、あらふしぎ、あなたの弱さは克服すべきものじゃなく、存在の「傾き」として不意に輝きだす──。〈ケアをひらく〉の名編集者がみんなの弱さをグッと後押し。自分を変えずに生きやすくなる逆説の自他啓発書。 目次 Ⅰ いかにして編集の先生に出会ったか  1 ケアとは   刹那的なケア   リハビリの昼と夜   失禁と世界の回復   太陽と空気と地面とケア  2 べてるの家との出会い   意外に遠い福祉と医療   病院のにおい   もうけている作業所   網走での出会い   自分自身で、共に   「反」ではなく「非」   戦わないでさっさと逃げる  3 編集の先生   試されている感じがしない   肯定と否定の外側で   「そこがいいね!」がなぜ通用するか   〈図〉は変えないで〈地〉を変える   「商業」という魔法   医学的編集とソーシャルワーク的編集 Ⅱ ズレて離れて外へ  1 問いの外に出ざるを得ない人たち   問いの外に思考が流れてしまう人たち   風変わりな言葉たち   主語が患者と入れ替わる   土管の中で話を聞く   二つのことを同時に伝える   因果沼から“かどわかし”へ   問いの圏外に出るために  2 分母を変えるのが編集   強いロボットは歩けない   依存症は依存が足りない   「治す」「克服する」ではない物語へ  3 吃音者は分母を変えて生きていく   『どもる体』のはじまり   吃音者の方法(1)〜(4)諦める・準備しない・波に乗る・周囲を変える   分母を変える一発逆転芸  4 面と向かわない力   架空の劇なのに言えない   後ろから、波のような温かい圧が……   「信」をめぐって――東大での体験   内面の「信」から、対人の「信」へ   「側聞」という方法   「正対」から逃れて Ⅲ ケアは現在に奉仕する  1 ケアと社交   ヘルパーへのアドバイスがなぜ役に立つ?   社交するために社交する   対話するために対話する   過程に内在するための工夫   二〇年以上前の潔さんの言葉  2 消費と浪費と水中毒   過食嘔吐の記憶   「浪費」としての飲水へ   十全な、今ここでの満足  3 今ここわたし   「惚れる」の謎   人がもっとも充実しているとき   すでに本番は、はじまっている   リスクとワクワク  4 ナイチンゲールを真に受ける   生体は善き方向に進む   本来治りやすい病気である   ケアと痛み止め   俺はすでにして完全 Ⅳ ケアが発見する  1 原因に遡らない思考   因果論から構成論へ   幻視・幻聴を聞きまくってデータ収集   幻覚妄想の社会モデル?   前提を変えること  2 手を動かすより口を動かせ   依存症の回復モデル   マイノリティの逆襲?   「ケア論的転回」としてのハームリダクション  3 同じと違う   中井久夫と発達障害   見ている世界が違う   住む星が違うから体も違う   量的な違いが無視される   発達障害と「脳の多様性」   言語化への努力  4 いつも二つある   輻輳する時間   チキンカレーとラムカレー   食べると逃げるが併走する   一列に並べることの利点 Ⅴ 「受け」の豊かさに向けて  1 蘭の花のように愛でる   ALSとは   身体への着目   意図の推測から勝手な解釈へ   蘭の花のように   生を享受する人  2 受ける人   接続詞はドアを閉める   世界は受け取ることで発生する   「いる」のは忙しい   受け身と可能がなぜ同じ言葉なのか  3 いい「波」はどこから来るか   よそに行ったら縛るから   「内面」という無間地獄に落ちる前に   べてるに来れば病気が出る   なぜ、いい「波」が来るのか   規範から遠く離れて  4 受動性と偶然性   蹴る前に受けるスポーツ   受動性や偶然性が排除される   中動態と能動的受動   弱い編集 Ⅳ 弱い編集――ケアの本ができるまで   1 山の上ホテルのペーパーナプキン    ――中井久夫・山口直彦著『看護のための精神医学』   地下の薄暗い書庫で   病院のカビ臭い倉庫で   ニワトリと卵と、拾う人   生活の政治学   普通への愛と憧れ  2 魔法と技術のあいだ    ――本田美和子、イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ著『ユマニチュード入門』   「好き」にさせる技術   人間的というより動物的?   属人化と標準化のあいだで  3 弱いロボットの吸引力    ――坂口恭平著『坂口恭平 躁鬱日記』、岡田美智男著『弱いロボット』   ひとり音楽会と中二病   閉じない人たち  あとがき  主な参考文献 白石正明(しらいし・まさあき) 1958年東京都生まれ.青山学院大学法学部卒業.中央法規出版を経て1996年に医学書院入社.1998年に雑誌『精神看護』を,2000年に〈ケアをひらく〉シリーズを創刊.同シリーズは現在50冊を数え,川口有美子『逝かない身体』が大宅壮一ノンフィクション賞(2010年),熊谷晋一郎『リハビリの夜』が新潮ドキュメント賞(2010年),六車由実『驚きの介護民俗学』が日本医学ジャーナリスト協会賞(2013年),國分功一郎『中動態の世界』が小林秀雄賞(2017年),東畑開人『居るのはつらいよ』が大佛次郎論壇賞(2019年),鈴木大介『「脳コワさん」支援ガイド』が日本医学ジャーナリスト協会賞(2020年)を受賞.シリーズ自体も2019年に毎日出版文化賞を受賞する.2024年3月に医学書院を定年退職. 岩波新書・254頁

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