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店のレイアウトがどんな思考感覚を経て入れ替わるのか。itouさんの頭の中を見ているような気分になり、qpさんの写真がその空気感を伝えてくれます。本という器にたくさんの気づきのレイヤーが隠れています。itouを知っている人もこれから行く人も見ていただきたいアートブックです。
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京都市左京区に位置する古物商「itou」の店景と店主・伊藤槙吾の言葉を約3年かけて収録した作品集。月に1度、什器ごとディスプレイを一新するitouは、物のセレクト、什器の位置や形、来店者が物を手に取り、移動させたり購入したりするなどの要素が重なり「完成」を繰り返します。毎月違う表情を見せるその店を定点観測すると次第に、空間・物・什器が織りなす曖昧なレイヤーの存在に気づく————本書ではそんなitouの店づくりを、イメージ、台、空間、接地、物の配置、整理、値段などあらゆる要素から深掘りし、その立体的な空間を、デザインと言葉からも感じられるよう表現しました。
グリッドを意識した正方形の製本、一度レイアウトしたものをシャッフルし、一冊ごとにランダムなページネーションにするデザイン、紙の裏写りによる表裏ページの干渉。これらはすべてitouの店内を模したつくりです。店の中を回遊し、しゃがんだり立ったり、振り返ったりする動作のように、読者が本書をめくることを期待します。
撮影は近著『喫茶店の水』(左右社)でも話題を集める画家のqp、デザインは加納大輔、全410ページの印刷・製本はNEUTRAL COLORSによるもの。リソグラフ印刷の単色ライトグレーをベースとし、一部カラーページを折り混ぜました。
『手に負えない空間』
著者 伊藤槙吾 / itou店主
撮影 qp
頁数 410P
判型 H145mm × W145mm
印刷 オフセット・リソグラフ
言語 日本語
綴じ 無線綴じ・左開き
発売 NEUTRAL COLORS
(版元サイトより)