new
日々更新される関係性が形作るもの──
重ねられたふたのかたちに浮かび上がる、日常の創造性
東日本大震災まで東京に住んでいた下道は、結婚を機に妻の実家の愛知に引っ越すことになった。「ははのふた」は、その日常の中で見つけた義母の小さな習慣を撮り溜めたシリーズである。
食卓で見つけた義母の作る"ふた"に興味を持ち、3年間かけて密かに撮影した。また、「ははのふた」の展示発表後、本シリーズは「つまのふた」へとも継続し展開された。
本作は、日々更新される関係性が形作る「新しい家族の風景」をユーモラスに描く写真シリーズである。
それは、3.11により日常の見え方が変わり、家族の食卓に写真をもって入っていく行為でもある。日常の中に点在しているけれど発見されないものを、写真によってあつめる。
そこには、近代を飛び越えて、目の前で起こっている、原初的なクリエイティブなものに目を向ける、接続するリアリティがある。
表紙は、下道がトレースしたふたの形を組み合わせたもの。ふたを象る行為がここにも織り込まれている。
ー
下道基行
1978年 岡山生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。2003年東京綜合写真専門学校研究科中退。日本各地に残る軍事施設跡を4年間かけて調査・撮影したシリーズ『戦争のかたち』(2001-2005)でデビュー。東アジアの日本植民地時代の遺構として残る鳥居を撮影した代表的なシリーズ『torii』(2006-2012)、250年以上前に沖縄先島諸島の海岸線に津波によって流れ着いた岩の現在を動画で撮影するシリーズ『津波石』(2015-)など、旅やフィールドワークをベースにした制作活動で知られる。2020年以降、コロナ禍で香川県直島に家族で移住し地元の人々と協働しながら島のアーカイブを作るプロジェクト『瀬戸内「」資料館』を継続している。
2012年光州ビエンナーレ新人賞、2015年さがみはら写真新人奨励賞、2019年Tokyo Contemporary Art Awardなどを受賞。2019年ヴェネチアビエンナーレ日本館参加作家。国内外での芸術祭や展覧会参加多数。出版物多数。
ジョージ・イーストマン美術館 (ニューヨーク、アメリカ)、カディスト美術財団 (サンフランシスコ、アメリカ)、高松市美術館、愛知県美術館、豊田市美術館、広島市現代美術館、森美術館、国立国際美術館、岡山県立美術館などに作品がコレクションされている。
2016-2019年に国立民族学博物館特別客員准教授、2024年から現在は京都芸術大学客員教授。香川県直島町在住。
ー
Book Design:寄藤文平+垣内晴(文平銀座)
発行:赤々舎
Size:H280mm x W228mm
Page:88 pages
Binding:Hardcover
(版元サイトより)