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ルカス・グローア 編
レト・ゾルク 編
ペーター・ウッツ 編
新本 史斉 訳
同行者が綴る「ぶらぶら歩きの天才」の相貌
カフカやゼーバルトらを魅了する作家ヴァルザーの知られざる生前の姿。1957年の初版刊行以来、繰り返し参照されてきた最重要の伝記的文献。[口絵14頁]
カフカやゼーバルトなど、現在に至るまで数多の書き手を惹きつけてやまないドイツ語圏スイスの作家、ローベルト・ヴァルザー(一八七八―一九五六)が散歩中に心臓発作で亡くなった翌年に刊行された本書は、ヴァルザーについての基礎的な伝記資料として幾度も版を重ね、複数の言語に翻訳されてきた。 ヴァルザーは精神を病んで文学的に沈黙して以降、スイス東部ヘリザウの病院に暮らしていたが、彼のもとを定期的に訪れていた数少ない人物のひとりが、本書の著者、カール・ゼーリヒ(一八九四―一九六二)である。さまざまな作家の支援者として知られたゼーリヒは伝記作家でもあり、彼がヘリザウを起点に、ヴァルザーと連れ立って出かけていった散策の足跡を書きとめたのが、本書なのである。 本書の記述は一九三六年七月、最初の散策から始まる。ヴァルザーはすでに筆を折って久しかったとはいえ、ふたりの会話のなかで示されたという文学や社会をめぐる彼の洞察はめっぽう鋭く、また、その言動はどこか、彼の作品中の登場人物を思わせる。ふたりの驚くべき健啖ぶり、健脚ぶりも見どころ。ゼーリヒが散策中に撮影したヴァルザーのスナップを口絵に収めた。
[著者略歴]
カール・ゼーリヒ Carl Seelig (1894–1962)
スイスの編集者、作家。1936年にはじめてスイス東部ヘリザウの精神療養施設に作家ローベルト・ヴァルザー(1878–1956)を訪ね、1944年以降、ヴァルザーの公式後見人を務める。
[訳者略歴]
新本史斉(にいもと・ふみなり)
1964年広島県生まれ。専門はドイツ語圏近・現代文学。翻訳論。
現在、明治大学教授。
著書に『微笑む言葉、舞い落ちる散文』(2020年)、訳書に『ローベルト・ヴァルザー作品集』1巻、4巻、5巻 (2010年、12年、15年)、イルマ・ラクーザ他編『ヨーロッパは書く』(2008年、共訳)、ペーター・ウッツ『別の言葉で言えば』(2011年)、イルマ・ラクーザ『もっと、海を』(2018年、以上すべて鳥影社)、ソーニャ・ダノウスキ『スモンスモン』(2019年、岩波書店)などがある。
四六判 274ページ
白水社
(版元サイトより)