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「こんなひとりごとにはどんな意味があるのだろう?」
トルストイをして「生命、知恵、教訓、慰安」にみちた「最上の書物のひとつ」と言わしめ、ペソアをはじめ後年の作家たちにも深い影響を与えた『アミエルの日記』。日本でも戦前から広範な読者を得ていたことがよく知られている。凡庸な哲学教師の日記は、なぜこれほどの共感を呼びえたのか。その精髄を贈る。
ベルリン滞在時にはシェリングの教えを受け、ジュネーヴ大学で哲学を講じたアミエルは、詩や評論の著作はあったものの生前に名声を獲得することはなかった。彼の名が注目されるようになったのはその死後、ノート174冊、16900ページにおよぶ日記の抜粋が、女友達の尽力で刊行されたことによる。近代的自意識の詳細な記録ともいうべきその筆致は、思索のための日記だったのか、はたまた日記のための思索だったのか——内省の実践の最果てへとわれわれをいざなう。
解説=小倉孝誠「日記文学の極北」
[著者略歴]
アンリ゠フレデリック・アミエル(1821–1881)
Henri-Frédéric Amiel
ジュネーヴ大学の哲学講座教授。1844–48年のベルリン滞在時にはシェリングの教えを受ける。大学入学後に日記をつけ始めたがやがて中断、26歳で再開すると、59歳で亡くなるまで30年以上にわたって日記をつけ続けた。ノート174冊、16900ページにおよぶ日記は死に際して女友達のファニー・メルシエに託され、2年後に彼女の尽力で抜粋版が刊行されると、近代的自意識の記録として幅広い読者を獲得した。
[編訳者略歴]
土居 寛之(1913–1990)
どい・ひろゆき
東京帝国大学仏文科卒。東京大学教養学部教授を務めた。サント゠ブーヴやアミエルなどを研究。訳書にルソー『告白』(角川文庫)など。
新書・320ページ
白水Uブックス
(版元情報より)